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遺言書の基礎知識―包括遺贈・特定遺贈とは

遺言書があれば赤の他人にも相続はできる・・・?
果たして相続でそのようなことがあっても良いのでしょうか?この答えとしては、遺言書を作成すればまったく血縁関係のない他人に対しても遺産を譲ることは可能です。これは厳密に言えば相続ではなく、「遺贈」という法律行為の1つです。この遺贈によって財産を譲る者を「受贈者(じゅぞうしゃ)」といい、逆に譲り受ける者を「受遺者(じゅいしゃ)」といいます。
そして、遺贈には「包括遺贈」と「特定遺贈」という2種類があります。この2つの簡単な判別方法としては、「財産を特定して遺贈しているかそうでないか」となっています。
今回は、この2つの遺贈について詳しく見ていきましょう。

包括遺贈って?

包括遺贈とは、簡単に言えば財産を割合にて遺贈することをいいます。たとえば、「Aに全財産の2割を、Bには全財産の8割を遺贈する」といったように、遺贈分の指定を割合にてすることを包括遺贈といいます。そして、包括遺贈をされた受遺者は、遺産分割協議に参加する権利を得ることになり、まったく血縁関係がなかったとしても他の法定相続人とまったく同等の立場になります。
ただし、注意しなければならない点として、法定相続人とまったく同等の立場ということは、債務についても引き受ける義務が生じるということです。債務負担しなければならない割合=包括遺贈があった割合、となっています。

特定遺贈って?

特定遺贈とは、簡単に言えば財産を特定して遺贈することをいいます。たとえば、「Aにこの土地を、Bにはあの土地を遺贈する」といったように、遺贈分の範囲を特定して遺贈することを特定遺贈といいます。ただし、包括遺贈の場合とは違い、特定遺贈の受遺者は遺産分割協議に参加する権利はありません。ということは、当然ながら債務を引き受ける義務も生じないと言うことです。
ただし、一部でも包括遺贈があれば、いくら特定遺贈があったとしても包括遺贈の割合分については債務負担が生じることになりますので注意しましょう。

遺贈前に受遺者が亡くなっていた場合は?

包括遺贈であっても特定遺贈であっても、遺贈は受贈者の死亡によって法的効力が生じます。よって、受贈者より先に受遺者が亡くなっていたとなれば、遺贈は当然ながら無効となります。その他にも、事故や自然災害によって同時死亡が認定されるような場合も遺贈は無効です。
相続では、相続人が先に亡くなっていた場合、代襲相続が生じることになり、相続権が相続人の子に移ることになりますが、遺贈については代襲遺贈のようなことにはなりません。遺贈が予定されていた財産は、法定相続人にて分割がされることになっています。

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