寄与分の認否については、明確な基準が定められているわけではありません。よって、原則は相続人同士が協議をして決めなければなりません。しかし、誰かに寄与分を認めるということは、自身の持ち分が減ることにもつながりますので、なかなか協議だけで結論を出すのは難しいと言えます。そこで、最終的には裁判所に認めてもらう以外に解決策はありません。
では、寄与分はどういった場合に裁判所から認められることが多いのでしょうか?
寄与分は貢献度合いで決まる
裁判所は、寄与分を求めている者がどれだけ被相続人の財産形成に特別な貢献したかによって判断をします。たとえば、被相続人が行ってきた事業に対して、無償での労働力の提供や運用資金の援助・供給といったことを行っていれば、まさに特別な貢献と言えるでしょう。
その他、被相続人が体調を崩してから、どのような療養看護をしてきたのか。この場合、療養看護をする者がいたおかげで、療養施設への費用負担が軽減したという貢献と言えるでしょう。
ただし、家族の療養看護については判断が厳しいと言えます。というのも、被相続人の配偶者や子どもが療養看護をするというのは、家族としては当然のことです。それくらいでは特別な貢献とは言えませんので注意しましょう。
寄与分は相続人だけに認められる
寄与分はまったくの他人に対して認められるものではありません。相続人に対してのみ認められる制度となっています。よって、いくら相続人以外のものが被相続人の財産に特別な貢献をしてきたとしても、寄与分を主張することはできません。ただし、被相続人に法定相続人が誰もいなかった場合、裁判所から特別縁故者として財産の分配が認めてもらえることがあります。特別縁故者とは、被相続人と特別なつながり(縁故)があった者のことを言います。
特別縁故者と認められるためには
ただし、いくら自身が特別縁故者だと主張をしても、相続人は誰もいませんので相続財産に手をつけることは許されません。この場合は、相続財産に手をつけることができる「相続財産管理人」を家庭裁判所から選任してもらわなければならないのです。
その後、特別縁故者への財産分与について相続財産管理人から認めてもらう必要があります。これが認められれば、相当額の財産が分与されることになっています。とはいえ、特別縁故者として認めてもらうためには、相続財産管理人にしっかりと主張をしていかなければならないため、より確実に財産分与を認めてもらうためにも、専門家にサポートしてもらうことをおすすめします。